2017年12月15日金曜日

カルト事件の深層に迫る

 

春秋社から出された藤田庄市氏の「カルト宗教事件の深層」という本を読んでいます。繰り返されるカルト事件は、妄信・盲信・狂信・洗脳やマインドコントロールという言葉では説明のつかないことがあると感じた筆者がその深層にあるものをあぶりだすという類の本です。
一般的にカルト犯罪の裁判では、宗教性を重視した判例というのは少なく、動機付けも欲望充足目的であるとか金銭目的に置き換えられ、一般人に理解しやすような説明がなされています。教義とか信仰面から論じると、一般の人には理解できない犯罪となるためではないかと思いますが、本書ではその点も深く追求しています。
例えばいじめに関する犯罪は、被害者の肉体的虐待や精神的虐待という部分がクローズアップされます。そういうとらえ方をした場合、カルト宗教による犯罪は霊的虐待や信仰虐待であり、その被害者が加害者となり同じような被害者を生んでいくと解明されています。
宗教的なものに惹かれる人は、心のどこかに苦悩を抱えているといいます。そこに付け込んで宗教であることを隠しながら入信させる手口のカルトもあります。本書には様々な手口も明らかにされていますので、カルトに引っかからないためにも知識を有していたほうが良いと思います。
また、霊的虐待や信仰虐待を受けるとカルトから脱会したあとも後遺症のような形で心にぽっかり穴が開き、完全に回復することが困難なことがあることも記されています。宗教者として学ぶべき点がたくさんあるようです。

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