2017年11月13日月曜日

分骨の相談

幼子を残して亡くなられた女性のお母さんがおいでになり、娘の嫁ぎ先で葬儀を済ませたが、遠方のため日常的に墓参りをすることが出来ないので、分骨をして自宅の仏壇に遺骨を安置したいが構わないかと言うことでした。(ご門徒さんではありません)
お骨を分けてはいけないという決まりはありませんし、納骨前であれば改葬許可なのどの手続きも不要です。 仏教で言いますと、お釈迦様のお骨は仏舎利(ぶっしゃり)といって、世界各地に散らばっていて供養されていることからも、分骨すること自体に問題はないと考えられます。 浄土真宗では、お骨の一部を、親鸞聖人のお墓がある京都の大谷本廟に納骨するというという慣習もあります。
子供さんを亡くされて消沈されている様子でしたので、分骨されることをお勧めしましたところ、安心され喪主にお願いして見るということでお寺を後にされました。
相談から一か月後の今日お見えになり、喪主から分骨を断られたと言うことでした。ショックを受けられている様子でした。喪主が分骨を拒否されたようですから、分骨は不可能となりました。
分骨に関しては「魂が分割されるので成仏できない」「あの世で五体満足になれない」などといったことを信じておられる方もありますが、それらはすべて何の根拠もない迷信なので残念なことです。
次善の策として過去帳を作り、それを仏壇に安置して手を合わせられてはいかがですかとお話ししたところホッとされた様子で「そうします」と言われました。
教義から云えば正しい作法と言えない部分もありますが、それで救われる人があるなら多少のことは良いと思っています。これが恕の心ではないでしょうか。

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