「カルト宗教事件の深層」にはオウム真理教の実態についても詳しく述べられています。オウム真理教では信者がオウムへ出家するときには、次のような誓約書や遺言書を提出するといいます。①教団に迷惑をかけず、損害を与えた場合は、いっさいの責任をとる。②親族とは絶縁する。③すべての遺産、財産は教団に寄贈する。④葬儀等は麻原彰晃が執行する。⑤事故等で意識不明になった時はその処置は麻原彰晃に任す。⑥慰謝料、損害賠償もすべて麻原彰晃に任す。
まさに死後の扱いも含めてすべてを教団や麻原彰晃に任すという内容です。この内容だけでも異常としか言いようがありません。出家者の家族からの苦情で宗教法人の認証を保留していた東京都でしたが、オウム真理教側の抗議に負け、やがて法人認証書を交付します。
一方で批判キャンペーンや被害者の会の活動も活発になったため、麻原彰晃は敏感に反応して抗議行動を展開すると共に、損害賠償訴訟も次々と起こして行きました。そしてオウムと正面から対峙する坂本弁護士の命を狙うようになりました。
その理屈は次の通りです。「教団が進めているすべての人々をニルヴァーナ(涅槃)に導くための障害にとなるものは、最大多数の最大幸福を規制するのでやむなく一殺他生、一死多生という方法をとる。一人の犠牲で多くの人々が救われるならいたしかたない。」この論法で殺人が行われたわけです。
カルト宗教は、一度触れてしまうと覚せい剤中毒のようにもとに戻れなくなってしまう特徴があります。前へ進むしかなくなり行きつく先は、オウム真理教信者だけが生き残り新たな世界をつくるという幻想しかなくなるわけです。
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