2017年12月7日木曜日

お寺と家族

家内工業とは「家族を中心に、その家で営まれる小規模で単純な工業」のことですが、大多数のお寺もそれと似たようなものです。生活する場と仕事をする場が一体化していることと、住職とその家族で法人経営をしているというのが特徴です。
一般的には僧侶資格を持っているのは住職と跡継ぎというのが多くて、それ以外の僧侶が所属しているお寺は門徒数(檀家数)が多い大きいお寺ということになります。なぜなら門徒戸数が300戸くらいまでであれば法務(葬儀や法事など)は住職一人でなんとかなるからです。そして現状での収入の多くはお布施が占めていますが、お寺の収入だけで生活していける寺院は少数です。
別の仕事をしたり、年金をあてにしたり、預金を切り崩したりして生活している寺院の方が多数派です。浄土真宗本願寺派のお寺は10,000ヵ寺を超えますが、その6割以上が年収600万円未満です。年収300万円未満も4割以上あります。
今のままでは将来の見通しがたたないということで、廃業や合併を考えざるを得ない寺院も出始めましたが、お寺は家族も含め難しい時代になりました。
そんな時、家族にとってはうれしい判決が出ました。これだけお寺がありますと、住職が亡くなって家族だけがお寺に残るという例もあります。しかし、家族の中に僧籍を持っている者がいないと、そのままお寺に居続けるということが困難になります。この判例は、亡くなった住職と苦楽を共にした坊守がお寺に残ることを良しとした画期的な判決です。まだ最高裁が残っているだけに確定とは言えませんが成り行きが注目されます。


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