2016年11月19日土曜日

安楽死と尊厳死

警察からの行方不明者の情報提供依頼が毎週のようにメールで届きます。すべて認知症老人の捜索願いです。大体が翌日には見つかって解除になりますが、それだけ行方不明の方が多いということでしょう。

橋田寿賀子さんが安楽死について提言をなさっています。橋田さんは熱海市に一人で暮らしておられます。ご主人を27年前に亡くされ、子供さんはおられませんし、親戚付き合いも全くありません。月刊誌「文芸春秋」12月号で、私は安楽死で逝きたいというエッセイを寄稿されています。

89歳の時に終活ということで身の回りの物をほとんど処分して、犬と二人の生活を送っておられましたが、愛犬も今年6月に亡くなり本当に一人ぽっちになりました。橋田さんにとって将来一番怖いのは認知症になって、何もわからないままベッドに縛り付けられている姿を想像することです。誰にも迷惑をかけず安らかに逝く方法が安楽死であったわけです。そして合法的に安楽死出来る国がスイスでした。

厳密に言うとスイスで認められているのは、医師による「自殺ほう助」です。治療の見込みがないと裁判所が認めた場合に限り致死量の麻酔薬が処方され、医師が見守る中、患者が自らの意思で点滴パックの栓を開くというものです。人気があり現在は申し込みから実行日まで3ヶ月待ちだということです。

日本では安楽死は認められていません。過去の例では医師が殺人罪で有罪になっています。一方尊厳死というのは「人間の尊厳を保って自然に死にたい」という患者の希望をかなえることを目的として、人工的な延命措置を行うのをやめ、その結果として自然な死を迎えるというものです。

日本での尊厳死は、次の要件を全て満たすことが条件となっています。
①患者が治癒不可能な病気に冒され、回復の見込みがなく死が避けられない末期状態にあること②治療行為の中止を求める患者の意思表示が存在し、それは治療行為の中止を行う時点で存在すること③治療行為の中止の対象となる措置は、薬物投与、化学療法、人工透析、人工呼吸器、輸血、栄養・水分補給など、疾病を治療するための治療措置及び対症療法である治療措置、さらには生命維持のための治療措置など

難しい問題を多く含んでいますが、これからの日本にとっても大切な課題です。いずれにしてもリビングウイルという生前の意思表示をしておくことが最低限の条件となりそうです。

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