2016年11月29日火曜日

寺院のIT化

 
寺院は一般の企業とは違うという概念を持っておられる方も多いと思いますが、法律上は宗教法人という法人格を持った団体です。いわゆる本山など上部団体に所属している寺院が74,217ヵ寺あり、単立寺院が2,560ヵ寺あります。営利を目的としていない法人ですので、税法上優遇されている部分があります。法人税や固定資産税が非課税であるというのが代表的なものです。

ただし駐車場経営などをやりますとその部分に関して固定資産税と共に法人税もかかるようになります。また、専従者の給与などは一般企業と同じように所得税、社会保険料なども負担しなければなりません。私の経験では会社法人との大きな違いの一つは、社員教育の部分だと思います。

私の所属する宗派では、個人情報保護法、セクハラパワハラ、交通安全、ITなどの研修が行われることはありません。個人単位で勉強しなさいと言うことかも知れませんが、全体的には低レベルで推移しています。いまどきお金のやり取りに、現金書留が重視される企業などはないでしょう。

現金でのやり取りは不正が起こる可能性がありますし、お金が移動した経過をたどることが出来ないという欠点があり、現在は金融機関経由による取引が当たり前になっています。寺院間で未だに現金が幅を利かせている最大の理由はIT化が全く進んでいないという現状があります。

研修もされていない中では音頭を取る人もなく困難だと思いますが、誰かがどこかでやらなければならない課題だと思っています。例えば企業では用紙はA4版に統一されていると思います。ワープロソフトや表計算ソフトの基準も統一されているでしょう。整地されて初めてIT化を進めることが出来ます。

私の属する団塊の世代は、40才代後半から職場にITの波が押し寄せ、紙からメールによる添付ファイルへと変わり、連絡はほとんどメールで行なわれるようになって行きました。簡単な研修は個人単位でパソコンで行なわれるようにもなりました。マニュアルがありますので、それを読んで個人で技術を習得することになります。

パソコンが苦手な人はどうしてもついて行けず、最終的には職場を去って行った人も少数ではありませんでした。IT化が進むと対面的なコミュニケーションが少なくなるというマイナス面もありますが、効率化・標準化・正確性・信頼度・不正排除などに関しては軍配が上がります。

寺院の檀家や墓や忌日の管理、経理や出納事務などこそITの力を利用し、作業を軽減させてご法義の発展に力を注ぐべきだと思いますが、そこにたどりつくまでの課題山積で、住職が集まってもその様な話しにはならない昨今です。

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