2016年12月11日日曜日

20年後の僧侶像

 
浄土真宗本願寺派が所属寺院あてに発行する「宗報11・12月号」に宗門総合振興計画の一環としての提言『10年、20年後の日本社会で求められる僧侶像・寺院像答申書』が掲載されました。各寺院に届いたのが3日前ですので、まだ目を通していないお寺も多いのではないでしょうか。

その扱いですが、住職はこの答申を「我が寺・我が事」として受け止め、所属僧侶や寺族、門信徒に紹介し、内容について話し合い、意見がある場合には報告することとなっています。この宗報というのは、組織内部の公式連絡用通信誌のような位置付けであり、内容を門信徒まで広げて話し合うと言うのは異例のことです。

私が気になる点は順次アップして行きたいと思いますが、まず答申が出された背景について抜粋して記載します。

【戦後、核家族化が進み、さらに近年では単身世帯が増加し、家を継承するという家族のあり方は急激に減少してきた。また、都市部への人口移動が進み、過疎地では、地域社会の維持が困難になってきている。これからの時代に、いかにしてご法義を相続していくか。ご門徒の次世代も、これまでと同様に寺院との関係を持つことを期待できず、寺檀制度がいよいよ崩壊を目前に控えた今、ご門徒に対してはもちろんのこと、各寺院にご縁のない方々に対して、いかに働きかけていくのかを考えることは、宗門だけの問題にとどまらず、伝統仏教の全ての宗派に共通する喫緊の課題である。】

【これからは、僧侶も人も選ばれる時代になるといわれる。逆にこれまでは、門徒は固定の所属寺との間で義務的な関係にあった。義務教育のように、御法座への参拝や仏教婦人会等への参加を始め、葬儀にしても法事にしても、先例通りにするのが当たり前であり、そうせねばならないものとしての意識があった。だが今後は、義務から選択へと寺院と門徒の関係の動機が変化する。すなわち、この僧侶ならこの寺院ならと言うように、自身にとって価値を感じるか否かに従って、僧侶か寺院を選ぶ時代になると言う。様々なところで指摘されるこの見立ては、正鵠を射ている。これからの時代は、僧侶や寺院が、まずは社会から求められることに応えられなければ、法統の継承は困難なものとなる。逆に言えば、その期待に応え続ける中でこそ、ご法義は相続されうるであろう。】以下明日へ続く

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