2016年12月12日月曜日

寺院と公益性

 
答申書にはお寺を巡る外部環境分析として一番目に「公益的な寺院運営を望む社会的要請の高まり」をあげています。この問題は、宗教団体が税務上で優遇を受けていることに起因しています。逆に言うとなぜ宗教団体は優遇されているのかということを知らなければどう対処していいのか分かりません。

このことを知らないと宗教団体は公益活動をしているから優遇されているのだろうと勘違いをすることになり、それならば一生懸命公益活動をしましょうということになります。全国で約7万5千と言われている寺院の大多数は公益活動を行なっていません。行なっているのは宗教活動です。

実は宗教活動自体に公益性が含まれていると考えられています。宗教は社会全体に精神の安定をもたらし、人間の道徳・倫理の根幹を提供しているというのがその理由です。

反論する人は、お寺は檀家組織で成り立っているのだから檀家のための活動であり公益性はないと言うかもしれません。確かに多くのお寺は檀家制度で成り立っていますが、基本的に加入脱退は自由です。信教の自由が保障されています。ですから今は関係ない人でも将来お寺にかかわることは可能です。すべての人に門戸は開かれていると捉えるべきだと思います。また近い将来檀家制度は崩壊しますので、加入脱退の自由はもっと明らかになるでしょう。

一般の方はそういう背景を知りませんので、お寺に公益性を求めているのだと思います。公益性の具体例をあげますと寺院墓地や境内には無断で入っても罪に問われることはありません。もっともお寺であっても個人の住宅部分は住居侵入罪に問われます。

公益性については、宗教活動を飛び越えて公益活動を行う必要はありませんし、宗教活動が本来の活動ですので無理をする必要はありませんが、今後孤立する人が増えてくる地域社会にあっては、地域になくてはならない寺院活動の在り方を考えていく必要があると思います。

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