2017年8月16日水曜日

現実は意識が作り出している幻覚

私たちは五感を使って現実を感じていますが、実はそれら全部、意識が作り出している幻覚であると言い切った方がおられます。
英・サセックス大学の神経科学部教授であるアニル・セス氏は、この春にカナダ・バンクーバーで催された「TED 2017」の壇上で、今なおサイエンスにとっての難題である人間の「意識」の問題を深く掘り下げています。「私たちの脳の小さな生物機械である数十億のニューロンが織り成す活動――それこそが意識を生み出しています。では、意識はどのように引き起こされているのでしょうか? この謎に挑むことはとても重要です。この答えがない限りは、世界もなければ自分も存在せず、何もないことになりますから」
分かったような分からない言葉ですが、見えているはずなのに見えなかったり、聞こえているはずなのに聞こえないということは、日常ではよく経験します。自分に必要なモノでない場合は、無視してしまうことがありますが、これが意識しているかいないかの脳の働きによるものであることは、なんとなく理解出来ます。
映画マトリックスの世界でも、同じようなことが再現されていましたし、仏教の諸法無我も同じようなことを言おうとしているのかも知れません。また、親鸞聖人の「この世は、そらごと、たわごと」という言葉もそうかも知れません。
セス氏によれば意識が見ている世界は“幻覚”でもあるといいます。意識とは「脳が予期したものの総体」、つまり知覚によって取り込まれた情報を用いて脳はさまざまな予測を行い、その数々の予測によって“現実”が形成されていると説明しています。そう考えると我々は、自分の脳が見たいものを見て、聞きたい音を聴いていることになるわけです。
また、セス氏は次のようにも言っています。「個々人の意識はこの広大な宇宙意識のわずかな一部分を占めているにすぎない」人間以外の生物も、すべてが宇宙意識の構成要素となっているといいます。宇宙と個人の意識のどちらが主従ということもなく、あくまでも宇宙の構成要素であり、その意味で死を恐れる必要はまったくないと力説しています。たとえ生物学的な死が訪れようと、すでに我々は宇宙の一部分であることに変わりはないからということです。まさに宗教ですね。
 

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