2017年5月17日水曜日

お別れの大切さ

葬儀をして見ていつも思うことですが、参列された方の話しを聞いていると、故人の今まで知らなかった面がたくさん見えます。知っていたつもりだったけど、ほんの一部しか見ていなかったんだなと思います。人は年を取っていくと、付き合いの範囲がだんだん狭くなっていきます。自分の足で動ける間はまだいいですが、家に閉じこもりがちになると極端に世界が小さくなります。

いくら年をとっても、元気なうちにあの人にもう一度会いたいな、という気持ちは、誰にもあります。昔の仲間と会うことは元気の源です。みんな語り合いたいのです。そう思いながらも体調不良で、入退院を繰り返している方もあります。

最近は新聞の死亡欄に通知を出さない方があります。故人の意向でと言われる時もありますが、今までの経験からいうと出した方がよさそうに感じます。家族でさえ知らない人が、新聞を見たからと言って訪ねて来られる場合が多いのです。故人には生前に作って来られた世界があります。中には故人に恩義を感じておられる方もあります。最後にお会いできることが、その方を救うことだってあります。寺院葬をやっていると、そういう場面に出くわします。特に通夜のある夜中と葬儀のある早朝に尋ねて来られることは何度も経験しました。

誰にも知らせずごく身内でというのは、貴重な別れの機会を奪ってしまうことになりかねないと思いました。 

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